Misunderstanding

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努めている会社は海沿いの工業地帯にあり、僕は徒歩で通勤している。正門から僕のいる部署まで1kmくらい距離があって、その間、きなこの匂いがする。で、匂いの方向を見てみると、S○NTORYの工場が目に入る。それで、僕はてっきり、缶コーヒーか何かを作る過程で、きなこを使用しているのだと考えてしまった。もしくは、コーヒー豆の匂いが大気中の成分と反応して、そのような匂いに変化するのかなと勝手な憶測をしていた。

余り考えずに、きなこの匂いとS○NTORYの工場を短絡的に結び付けてしまい、つじつまが合うように自分でストーリーをこしらえてしまった訳だ。しかしなんと、実際はきなこの会社が通勤経路とS○NTORYの間に存在していた。きなこの匂いの正体は、他でもない、きなこであった。

現象と原因を正しく理解するには、思い込みが大敵である。きなこの匂いがするという事実を大切にして、そのような会社があるかもしれないと思っていれば、誤解せずに済んだのではと悔やまれる。一応はエンジニアとして仕事しているので、思い込まず、答えに飛びつかない姿勢を大切にしたい。

登山においては、読図がまさに誤解との戦いである。地形図と現在の地形はちょっと違うし、コンパスが指す方向も若干ずれているけど、自分の勘の方が正しいだろう、なんて状況になると道迷いの一歩手前、もしくはすでに道に迷っている。地形図やコンパスがずれることよりも、自分が勘違いしてしまっていることの方が圧倒的に多い。思い込みを排除して事実に基づいた行動をとること、これは登山でも求められる大原則だと思う。