仕事とクライミング
生活のために、ぼくは会社に通って仕事をして、その対価に給料を貰っている。仕事があるだけでありがたいことだけども、ぼくは会社のために生活しているのではない。自分の生活のために働いている。
余り忙しくて自分の時間が取れなくなると、いったいぼくは何をしているのだろうかと、悲しい気持ちになる。週末に休養しているつもりでも、頭の片隅には常に仕事の懸案があり、悩んだり、そわそわしたりしてしまう。気持ちの切り替えが下手な会社員の典型だ。
そんなぼくでも、壁を登っている間は余計なことを考えない。そんな余裕はないからだ。どうすれば落ちずに上まで登れるか、思考はその一点に集約される。クライミングの事しか考えない数分間が心地良い。クライミングは、経験を重ねれば、特に才能などなくとも一定レベルまでは上達すると思う。だからぼくはクライミングが好きだ。努力しただけ上達する。逆に言えば、練習し続けていないと成長しない。
多くのクライマーがそうであるように、ぼくはクライミングとは全然関係無い仕事で生計を立てている。時として、クライミングの上達に仕事が妨げとなる。かといって今の仕事を辞める勇気はない。クライミングがそうであるように、仕事も根気良く続けていれば、才能がなくてもある程度は上達するし、それを面白いと思う事もある。
ぼくの生きている日々は、今のところそんな感じだ。