山神社獅子岩リボルト (2019-12-21)
クライマーの知人から連絡を受け、獅子岩の右端ルート「十三の春 5.11c」のリボルトをN田さんに相談したところ、資材提供と、作業時の同行を快諾してくださった。既存のボルトはカットアンカーで施工されており、リボルト作業の難易度が高く、とても勉強になった。
メンバー
N田さん、崎間
行程
07:50 山神社入口(集合)
08:20/11:00 獅子岩の右端ルートをリボルト
11:00/16:00 獅子岩周辺でクライミング(解散)
概要
- 軽装で登り作業用ロープをフィックス
- リボルト装備を身に着けて終了点へ向かう
- M10全ねじボルト+MUケミカルアンプルで終了点を設置(乾燥を待つ)
- 下から登り返し、1本ずつカットアンカーをケミカルアンカーにリボルトする(計3本)
- 終了点にアンカーを固定し、フィックスロープを回収
詳細
ロープフィックス
N田さんが事前に調査してくれており、歩いて回り込んだ獅子岩上部の灌木にロープをフィックスし、懸垂下降でアクセス。対象のルートは下から見ると左上しているので、振られないように、途中の木から支点を取りながらロープセットする。
終了点用のボルトを設置
オリジナルの終了点はカットアンカー+鉄鋼製アイボルトで、黒くボロボロに劣化した残置スリングも相まって見るからに怪しい。オリジナルよりも若干壁側に新しい終了点を設置する。今回はFIXEのリング付きアンカーなので、二つを水平にセットする。N田さんが水平器を用意してくれており、水平に200mm程離れた位置に2つの穴を空ける。12mm径のビットを使用し、ドリルの山がすっかり隠れるくらいの深さまで穿孔するのが丁度良い。
穴を空けたら、ブロワーとブラシで最低3セット入念に掃除。続いて、旭化成ARケミカルセッター MU-10のアンプルを穴に入れ、HILTIの316Lステンレス鋼製全ねじをハンマーで叩き込む。けっこう反力を感じるので、しっかり叩く。根本まで届いたら、さらに5回叩いて拡散を促進するのがコツとのこと。なお、気温10℃未満の場合は、ネジを回転させて撹拌する(今回は10℃以上だったので撹拌せず)。
プロテクション(カットアンカー)のリボルト
リボルト講習のときはオールアンカーをリボルトし、撤去の方法をだいたい把握したつもりだったけれど、今回のカットアンカーではかなり苦戦した。全3本中、見本でN田さんがリボルトした1本以外の2本、つまり僕の担当分は、撤去途中でカットアンカーが折れてしまった。折れたボルトは埋め戻し、近くの適切な位置に新たにケミカルボルトを施工した。
カットアンカーは雌ねじを岩に埋め込み、ハンガーを雄ねじで固定するという仕組みになっている。雄ねじを抜いてしまうと、岩に埋まっている部分は中空なので、強度が低い。そのため、ハンガーを外す際に、抜いた雄ねじを改めて雌ねじに固定した状態でハンマーで叩いて緩める。しかし、雄ねじの長さはカットアンカーの奥まで達しているのではないので、途中の段階で強度差が出て、ハンマーで叩いている途中で折れてしまったという次第。
僕は上手く出来なかったけれど、正しいカットアンカーの取り除き手順は次の様になる。まず、カットアンカーの下両側に、5mm径のビットで予備穴を空ける(カットアンカーの真下に12mm径の穴を空けると雪だるま状になる。その雪だるまの首に当たる部分を予め拡張しておくイメージ)。引き続いてカットアンカーの真下に12mm径の穴を空け、一度ブロワーで切り子を飛ばし、雄ねじを付けたカットアンカーをハンマーで叩いて緩めて取り除く。
既設カットアンカーを外したら、ケミカルアンカーを施工するための穴を空ける。これはリボルト講習と同じで、下向き15°に12mm径のビットをドリルの山が隠れる深さまで掘り、さらに、ケミカルアンカーが収まるように上下に縦の切込みを入れる。
入念な掃除のが済んだら、FIXEのケミカルボルトをHILTIのグルーHY-200で施工。このグルーは速乾タイプなので、2時間程で使用可能な強度となった。
感想
たった3時間の作業だったけれど、リボルトが終わると疲労困憊し、大きな充実感も得られた。N田さんは迷いなくカットアンカーを取り除き、寸分の狂いなくケミカルアンカー用の穴を施工しておられた。さすが、通算1,000本以上をリボルトした腕前だ。10月のリボルト講習会に引き続き、とても貴重な経験が得られました。どうもありがとうございました。