西穂北西尾根(2023-03-18~19)

最終更新日

縁あって、同じ市内在住のHYSさん計画の山行に参加させていただきました。久々の積雪期北アルプス。充実の山でした。

メンバー

HYSさん(L)、HSGさん、崎間

工程

  • 2023-03-17(金)雨
    21:00 加古川市
  • 2023-03-18(土)雨のち雪
    04:00/07:30 新穂高温泉駐車場
    09:00 穂高平小屋
    09:50 北西尾根取付
    16:30 2330m地点(幕営)
  • 2023-03-19(日)快晴
    03:00 起床
    05:00 幕営地発
    09:00 ジャンクションピーク
    11:35 西穂高岳
    13:30 西穂独標
    14:20 西穂山荘
    15:25/15:45 西穂高口駅
    16:05 新穂高温泉駅
    16:20 新穂高温泉駐車場
    23:30 加古川市

詳細

1日目:新穂高温泉→北西尾根2330m

車中での浅い仮眠から目覚めると、相変わらず雨が降っている。少し標高を上げれば雪に変わるだろうけれど、今日は終日悪天予報だ。どのみちずっと尾根歩きなので、快晴予報の明日に期待して山に向かう。

考えていることは皆同じのようで、こんな天気だというのに新穂高温泉登山指導センター周辺には前夜発の登山者(その多くは関西弁)で賑わっている。みなさん涸沢岳西尾根へ向かうようだ。

標高1050mの新穂高温泉から、穂高平小屋へ続く林道を歩く。今日のテン場までの標高差は約1300m。出発してしまえば、あとはもう歩くしかない。2時間弱で北西尾根の末端。ここでワカンを付ける。

▲北西尾根末端

急斜面に昨日からの新雪が降り積もってなかなかに歩きにくい。ときおり膝下くらいのラッセル。先頭を交代しながら、無心で標高を稼ぐ。展望もないし、雪が振り続いてるし、睡眠不足で眠い。歩きながら寝てしまいそうになる。湿った雪がじわじわと染み込んできて、靴下もアンダーも湿っぽい。もはや何も考えられない。早くテントに入って横になりたい。

▲雪の北西尾根
▲たまに段差にハマり体力を奪われる

登っては休みを繰り返し、16時半に標高2300mを超え、やや平坦な場所をテン場とする。整地すると雪の下に大きな穴が出てきて、その度に場所を横に奥にと移動する。最終的に、半雪洞状のテントサイトが完成した。

テントに入ってお湯を沸かして寛いでいると、いつの間にか雪は止み、日差しが出てきた。水をつくり、夕食を食べ、山の話をする。僕はここ2年ほど、単独行ばかりだったので、テント中で会話できることが新鮮で、とても楽しかった。

▲テントから眺める夕暮れ

2日目:北西尾根2330m→西穂高岳→西穂高口駅

寒さに震えて熟睡できないまま3時起床。7時間目を閉じて安全な場所で横たわっていたので、体力は回復した(と思いたい)。今日はいよいよ岩稜を超え山頂へ向かう。昨日からの引き続きで新雪ラッセルから1日がはじまる。

一歩また一歩と足を踏み出すと、少しずつ高度が稼げる。1泊したおかげか天気がよいせいか、昨日よりもはるかに体が軽い。夜が白むとあたりの展望に感動する。笠ヶ岳、双六岳、三俣蓮華岳、穂高連峰、遠くに槍、名だたる山々が冷たく光っている。北アルプスに来たことをやっと実感する。

▲これぞ雪山登山
▲穂高連峰と大キレットのあたり
▲双六岳方面をバックに北西尾根を振り返る

標高2500mを超えると尾根が狭くなる。東側に発達した雪庇の下は切れ落ちた地形となっており、間違って踏み抜いたり、ふらついて転倒でもしようものなら西穂沢へ真っ逆さまだ。いやがおうでも緊張感が高まる。

3人で先頭を交代しつつ、キックステップを効かせて、掘り起こしたハイマツをホールドにして、じわじわと上に進む。青い空にジャンダルムが映えている。

西尾根と合流するジャンクションピークの手前は北西尾根の中で最も細い部分。植物や岩が所どころ顔を出しているので、どこまでが地面がどこか分かるのが救い。もっと雪が多くてそれらの目印がなく、さらに視界も悪ければ、かなり難しそうだ。

9時、ジャンクションピーク着。目指す西穂高岳が見える。向かって左には、西穂から奥穂へと続く稜線が見える。圧巻の風景。

▲ジャンクションピークへ続く稜線
▲ジャンクションピークから西穂高岳

西穂高岳へは部分的に岩場を登る。最後は西穂高岳山頂へダイレクトに突き上げて終了。360度見渡せる絶景を楽しむ。ひとまずこれで一般道に出た。とはいえ、独標まではかなり急な尾根なので、転倒しないよう慎重に下山する。

▲山頂へのひと登り
▲西穂から眺める奥穂高方面

西穂山荘からロープウェイの駅までが意外と遠くて、へこたりそうになる。15時半着。僕らはわざわざ危険な領域に足を踏み入れ、わざわざしんどい登山をしている。好奇心か、自己研鑽か、あるいはちょっとした贖罪か。観光客で満員のロープウェイに揺られ、生物としての安心感と人間としてのしがらみがある街に下山する。

感想

前夜に関西を出発し、北アルプスの麓の駐車場で少しばかりの仮眠をして、全装担いで雪山を歩く。今の僕にできるかどうか不安でしたが、なんとかこなせました。パーティーで力を合わせて山に登るというのは偉大なことですし、自分1人ではやろうとも思わなかったことができてしまうので、ありがたかったです。

1人で山に行くことも好きですが、自分とは別の経験を積んだ方々とともに山で過ごすことは刺激的で勉強になりました。久々の本格山行で体がボロボロなので、しばし体力回復に努めます。

備忘録

  • 尾根上は携帯電話(docomo)の電波が概ね通じました。
  • テントシューズを忘れてしまいました。初日の湿雪で靴下が濡れてしまったので、アンダー靴下のみで寝たら寒かったです。翌朝履き替えたFITSの靴下はとても暖かだったので、これを履いて眠ればよかったと反省。
  • アルパインダウンハガー#3では寒かったし、SOLのシュラフカバーもかなりくたびれてきたので、夜中はけっこう震えていました。朝起きると、自分の体から出てきた水分でシュラフがびちゃびちゃになっていました。寒い訳です。
  • ハードシェル、手袋、シュラフ等、メインで使っている装備が購入後10年くらい経っているので、そろそろ壊れそうです。