宝剣岳 第二尾根・中央稜(2023-04-22~23)

最終更新日

先月の西穂高岳と同じく、同じ市内在住のHYSさんの山行にご一緒させて頂きました。

メンバー

HYSさん(L)、HSGさん、崎間

行程

  • 2023-04-21(金)晴
    21:00 加古川市
  • 2023-04-22(土)晴
    02:30/07:15 菅の台バスセンター
    08:40 千畳敷駅
    09:45/11:30 宝剣山荘テン場
    12:30 第二尾根取付(本来の3ピッチ目の左下ルンゼから)
    15:10/15:45 宝剣岳
    15:50 宝剣山荘テン場
    18:30 就寝
  • 2023-04-23(日)晴
    04:00 起床
    05:15 宝剣山荘テン場
    05:50 中央稜取付
    10:45 宝剣山荘テン場
    12:55/13:30 千畳敷駅
    13:25/14:00 菅の台バスセンター
    19:30 加古川市

詳細

1日目:宝剣岳第二尾根

駐車場で仮眠。シュラフに包まって3時間弱眠れたので、平日の疲れがいくぶん回復した。登山者や山スキーの人が多くて始発のバスは満員で乗れず、その次の臨時便で出発。あっという間に標高2600mの千畳敷駅だ。1時間ほど歩いて、宝剣山荘に到着。山荘前を整地して、テントを設営する。小屋のトイレも使えるし、岩場も近いし、いい場所だ。風が強いことを除けば。

▲千畳敷から浄土乗越への登り
▲宝剣山荘前のテント場

B沢らしき場所から第二尾根を目指す。尾根末端までは行かずに、3ピッチ目の左下のルンゼ地形から登攀を開始する。3人パーティーで登るなんて久しぶりだ。ダブルロープを装着してリードする。

▲B沢?を懸垂下降して第二尾根へ向かう

1ピッチ目

雪のガリー状を登る。部分的に氷あり。正規ルートではないし残置支点もないので本当に自由だ。20m程ロープを伸ばして、コルの手前、顕著な岩塔の下のクラックにカムで支点をつくり、ピッチを切った。

▲1ピッチ目の終了点

2ピッチ目

すぐ目の前の岩を数m登ってC沢側へ回り込むと、切り立ったスラブの下に出た。ロープが屈曲するので、短いけれどピッチを切る。1ピッチ目の支点で切らずにここまで来れればスムーズだった、と後になってからは思う。支点はカム。

▲2ピッチ目。上の壁は登らず、C沢側へトラバースした

3ピッチ目

本来の3ピッチ目?。出だしのスラブにリングボルトが2本あったのでA1で抜けようと試みるものの、スラブの上部が何もなく、突破できそうにないのでクライムダウン。右の浅いクラックからカムエイドで、時間をかけて、どうにかスラブを突破した。上部は快適で、稜線まで伸ばしてビレイ。支点はやはりカム。

▲3ピッチ目出だし。中央左のリングボルトから登ろうとしたものの途中で諦め、右の浅いクラック沿いに突破した
▲3ピッチ目の終了点から

4ピッチ目

宝剣岳山頂まで、傾斜の落ちた稜線をたどるピッチ。岩にスリングを巻いてビレイ。

▲左の稜線沿いが4ピッチ目

山頂でロープをしまって、宝剣山荘前のテントに下山。くつろいで、水をつくって、夕食。焼けるような夕日を眺めた。18時半頃に就寝。

▲宝剣岳の西に日が沈む

2日目:宝剣岳中央稜

4時起床。新調したナンガのシュラフ(オーロラライト450)は、いままで使ってたモンベル3番より暖かく、よく眠れた。HSGさんは高度障害のためか体調不良とのことで、HYSさんと僕の2人で中央稜に向かう。クラストした八丁坂を下り、尾根地形を2つくらいトラバースして、中央稜に向う。残置ロープが垂れているのが遠目に見える。リングボルト4つに盛大にスリングが巻かれたビレイ点まで進み、ロープを出す。

▲中央稜へ向かう

1ピッチ目

崎間リード。前回(2018年3月)は向かって右に進んだ。今回は、より簡単そうに見える左へ進む。途中までは階段状。そこからが問題。残置はあるものの、微妙に遠く、壁の傾斜もきつく、時間ばかり過ぎる。

いったん地面までロワーダウンさせてもらい、振り子状に下部を右にトラバースすることで、なんとか難しい部分を抜ける。ビレイ点は見覚えのある太い灌木。下から見えていた残置ロープは、この木にフィックスされていた。

▲要塞のような1ピッチ目の中間部
▲1ピッチ目終了点

2ピッチ目

HYSさんリード。雪面を左上して凹角。こちらも残置支点は豊富ながら、アイゼンだとなかなかに悪い。凹角を乗り越したテラスでビレイ。

▲2ピッチ目の凹角

3ピッチ目

崎間リード。テラスから1段上がって、雪面を登るとオケラクラック手前の凹角。やや被っているのでA1。目の前には顕著なクラックが伸びている。前回、雪が詰まったクラックに恐れをなして敗退したのだった。今回はカラッと乾燥し雪もなくスッキリ。ハンド〜ワイドハンドでのジャミングは決まるし傾斜もない。しかし、アイゼンでは微妙に足の収まりが悪く、フットジャムも効かず、結局カムエイドに終止する。クラックが途切れたテラスでビレイ。

▲オケラクラック(下から)
▲アイゼンでのフットジャムに四苦八苦
▲オケラクラック(上から)

4ピッチ目

HYSさんリード。ちょっとした岩場を越え、宝剣岳山頂までの雪稜。50m一杯。終了点が山頂というのが素晴らしい。

▲終了点は宝剣岳山頂

テント場でHYSさんと合流。体調は少し回復されたようだった。撤収して、1時間足らずで千畳敷まで下山する。

感想

第二尾根は残置支点が少なく、どこを登っていいか迷うものの、逆に言えばどこでも好きなように登れる自由度があった。クラックが豊富でプロテクションには苦労しない。無雪期にクライミングシューズで登ると楽しいかもしれない。

中央稜はオケラクラックよりも、1ピッチ目と2ピッチ目が難しかった。特に1ピッチ目は、敗退が頭をよぎったほど。山頂まで抜けられて何よりだった。目指すは厳冬期、かなあ。

装備

50mダブルロープ、カム(キャメロット#0.2〜#3相当)2セット弱、ナッツ(小さいサイズを一式)、ハーケン類(ほぼ使わず)、ヘキセン、テント泊装備一式。