蝙蝠谷(2023-05-01)

最終更新日

毎年5月1日はメイデーで僕の会社は休み。しかし平日なので、妻は仕事だし、娘は小学校だ。こんな日は、1人でバイクに乗ってクライミングに出かけよう。2017年に申請し、6年待って2023年に発行された登録証を携えて、蝙蝠谷へと1時間ほど下道を走る。

駐車場に500円を支払い、ゴミ袋とゴミ鋏を持って、岩場へのアプローチを歩く。夏の清掃時に何度か来たことがあるので場所は分かっている。ゴミは余り落ちておらず、タバコの吸い殻と釣具の袋を拾う。

平日だけど何人かはクライマーがいるかな、と思いきや、誰もいない。新緑の岩場に野鳥のさえずりがこだまする。トカゲが垂直な岩場を歩いてる。ロープソロに適したビレイ点(立ち木)が意外と少なく、条件に合う場所を探して、正面壁に取り付く。

  1. もういいでしょう 5.9+ 敗退
    途中まで順調だったけれど、最後のボルトにヌンチャクをかけられない。テンションして行きつ戻りつする。登れないので、いったん下降する。
  2. もういいでしょう 5.9+ 敗退
    いろいろ試して、やはりハマってしまい、また降りる。
  3. もういいでしょう 5.9+ トップアウト
    バランスの悪いムーブでどうにかワンムーブをこなして、最後のボルトにクリップ。苔でモフモフしたホールドを掴んでやっと抜けられた。
  4. 哲学の道 5.10c トップアウト
    先のルートの登りがあんまりだったので、取り付こうか迷いながら、まあ抜けられないことはないか、と思いトライ。ハンドサイズに見えたクラックは微妙に収まりが悪くて苦戦。奥にフィンガージャム。上手くホールドを効かせられれば楽しいムーブ。所々にガバもある。終了点にフィックスして下降。
  5. 哲学の道 5.10c トップロープ
    アッセンダーとマイクロトラクションでトップロープソロ。下部クラック沿いのムーブを探る。だいたい解決できた。楽しい。
  6. 哲学の道 5.10c トップロープ
    全体通して上まで。力尽きたので回収。

駐車場に戻ると、バイクのミラーに封筒が括り付けてある。何か悪いことしたかな、もしかしてバイクは駐車してはダメだったのか、と思って封筒を見たら、「バイクは300円なので200円を返却します」と、ご丁寧に返金いただいた。ありがとうございました。

▲6年越しの登録証を付けて入山
▲もういいでしょう 5.9+
▲哲学の道 5.10c
▲気温は18℃。快適でした
▲名だたるルートが並ぶ正面壁
▲バイクは駐車料金300円

蝙蝠谷の岩場は古くから登られていたものの、クライマーと地元の方々や土地の所有者とのトラブルによって、一時期入山禁止になっていた。その後、U津さんが根気よく地元と折衝してくださり、所定の手続きを経て約束事を守れる人たちにのみ、入山が許されるようになった。

僕(と家族)は、所定の手続きをしたものの、タイミングが悪かったようでなかなか登録証が発行されなかった。もう、この岩場では、登れないのだろうな、と諦めていた。いずれ、登録証を持ったクライマーたちが登らなくなると、忘れ去られていく岩場になるのかな、と思っていた。

どういった経緯か分からないけれど、2023年4月に登録証が発行され、登りに行けるようになった。蝙蝠谷は、兵庫県近郊にあってスケールが大きく、5.10台から5.13台まで幅広いグレードと歴史ある秀逸なルートが並ぶ、素晴らしい岩場だ。自宅から1時間もかからない場所にこれだけの岩場があるというのが個人的に嬉しい。

衝原湖周辺では、釣り人も、サイクリストも、各々の方法で活動し、自然と向き合っている。クライミングというニッチで危険な活動を受け入れてくださる地元の方々や、そのような土台を醸成し維持してくださるU津さんやN田さんらには、感謝するばかりだ。

これからも、この文化が継承されますように。僕も、底辺ながら、1人のクライマーとして、多少なりとも貢献できればと思います。