御在所岳 2ルンゼ、3ルンゼ(2025-01-25~26)

最終更新日

メンバー

HYSさん、HSGさん、崎間

行程

  • 2025-01-25(土)晴
    06:00 加古川市
    06:30 三木SA(集合)
    09:30 スカイラインゲート前
    11:30 藤内壁出合
    12:00 マイナスの滝取付
    15:30 奥又終了点
    16:30 奥又取付
    17:30 藤内壁出合
    18:15 日向小屋
  • 2025-01-25(土)晴
    07:10 日向小屋
    08:15 藤内壁出合
    09:00 ルンゼ途中の滝
    10:00/12:30 3ルンゼ
    13:40 藤内壁出合
    14:30 日向小屋
    15:20 スカイラインゲート前
    18:10 三木SA(解散)

詳細

1日目(2ルンゼ)

マイナスの滝

ようやくたどり着いたマイナスの滝は、薄い氷がかろうじてつながっている。寝てそうだし、なんとかなるか、と思いきや、落ち口手前が立っていてけっこう難しい。リードの恐怖でアックスを強く打ち込むと氷が割れ、さらに打ち込むとパンプする。舐めてた。

今回良かったのは、冬靴を新調したことだ。ジャスサイズのネパールキューブに、前爪を砥いだリンクスの組合せが最高で、不安なく立込める。パンプする前腕をシェイクしてごまかしつつスクリューをねじ込み、どうにかフリーで突破。滝を抜けた奥の壁にスリングが沢山残置された支点あり。風の通り道になっていてとても寒い。

▲マイナスの滝
▲新調した冬靴

奥又

水が滴り柔らかそう(アックス刺しやすそう)だし、そんなに長さもないかな、と思いきや、自分の身を氷瀑のただなかにさらすと不安この上ない。アックスは刺さりやすい代わりに、垂れてくる水でグローブはびちゃびちゃだ。

先端が鋼、胴体がアルミの軽量スクリューは、やはり水氷に向いていないらしく、ねじ込んでいる途中で急激に回転抵抗が増す。刃の部分と胴体の部分の材質差によるものか、そもそもアルミがそういう性質なのか。仕事で金属材料を扱っている僕としてはとても興味深いが、今はそれどころではない。左手でねじ込んでいるこのスクリューが入りきるまで、右手が耐えてくれるかが問題だ。

プロテクションを1つ取るだけでどっと疲れる。レストしつつ、じわじわと高度を上げる。もう少しで傾斜が緩くなる。あそこまで行けば完登だ。でもその前にスクリューを打たないと。しかし累積の疲労に耐えられず、たまらずアックステンションをかける。惜しかった。両手を離して一休みして、慎重にトップアウトする。

変な所でピッチを切ってしまい、マイナスの滝から継続して4ピッチもかかってしまった。それでも、全ピッチをリードしてトップアウトできて嬉しかったし、大きな経験値となった。

50mダブル一杯まで懸垂下降して奥又取付きまで降り、少し登り返してトラバースするとルンゼに戻れた。藤内壁出合で暗くなり、ヘッデン下山。

▲奥又
▲ビレイ点から振り返る
▲水が滴る最終ピッチ
▲奥又終了点からフォロービレイ

日向小屋

暖かく平らな場所というだけで雪山テント泊に比べるべくもない極楽だというのに、電気あり、お湯あり、冷蔵庫にビールあり、ごはん、みそ汁、焼き魚、大根の煮付、おでんの夕食。贅沢過ぎてバチが当たりそうだ。なんと快適なことだろう。談笑の後、2階に布団を敷いて就寝。とても暖かく、快適に眠る。

▲日向小屋で温かい夕食

2日目(3ルンゼ)

昨日紛失したHSGさんのアックスは、藤内小屋に届けられており、小屋の方が親切に渡してくださった。一安心。

今日は3ルンゼで登る。昨日と同じく藤内壁出合でハーネスとアイゼンを装着する。アプローチの途中のナメ滝を巻かずにリードで登り、急登を経て3ルンゼに到着。混雑しているルートの右端を何度か登った後、左から上部に抜けるラインでトップアウトする。高度感ありで爽快。

ロープウエイ駅の近くで登攀装備を外し、裏道登山道を下山。日向小屋でコーヒーをご馳走になり、温かい気持ちで帰途につく。

▲3ルンゼに集うアイスクライマー
▲3ルンゼをトップアウトした先には人工物

感想

この山行1週間前くらいから暖かい日が続いたので、もしかしたら氷が溶けて登れないのでは、と心配していた。幸い、奥又は(薄いし部分的に水が滴りつつも)氷瀑としての姿を保っていてくれた。マイナスの滝から奥又終了点まで都合4ピッチ、僕なりに渾身のアイスクライミングができた。

登っている途中「なんでこんな所に来てしまったんだろう」「もう諦めて下に降ろしてもらいたい」というネガティブな気持ちと、「アックス素振りやボルダリングトレの成果が出てる」「新しい冬靴が快適だ」というポジティブな気持ちが入り混じった。葛藤しつつも登り進め、安全圏であるテラスまで抜けた瞬間の安堵感たるやもう、この特殊な環境下でのクライミングでこそ得られる最高のご褒美だった。