小同心クラック
2011-11-05(土)~06(日)。八ヶ岳は小同心クラックへ妻と二人で行ってきた。除々に悪くなる天気の中、ガスに巻かれる直前に横岳山頂に達した。
ルートグレード:2級+、ピッチグレード:IV-
- 行程
- 登攀装備
- アプローチ
- 登攀
- 下山
- 覚え書き
行程
2011-11-05(土)
美濃戸6:10 → 8:10赤岳鉱泉(テント設営)9:10 → 10:40小同心クラック取り付き(登攀開始)11:10 → 13:10横岳(登攀終了)13:30 → 14:20硫黄岳14:20 → 15:20赤岳鉱泉
2011-11-06(日)
赤岳鉱泉7:00 → 美濃戸8:30
登攀装備
共同:50mダブルロープ、キャメロット(0.5、0.75、1)、ヌンチャク×3、アルパインヌンチャク×5、
個人:クライミングシューズ、ハーネス、チョーク、ビレイ器、スリング120cm×2、スリング60cm×2、環付カラビナ×3、カラビナ×4、プルージックロープ×1、
アプローチ
11月なので相当な寒さを覚悟していたが、昨年10月に来た時よりも暖かい。山靴+アイゼンで登るか、クライミングシューズで登るか迷ったが、雪もないし温かいのでクライミングシューズで登ることにする。
赤岳鉱泉に着くと、テントは2張だけ。天気予報では今日の午後から曇り、明日は雨らしい。明け方は快晴だった空には薄い雲が出ている。テントを張り、紅茶を沸かしてテルモスに詰める。 ハーネスを着け、登攀装備と行動食を持ち、小同心クラックへと向かう。
硫黄岳方面へ登山道を進むと、5分もしないうちに大同心沢に出会う。標識があって分かりやすい。沢の左岸にある明瞭な踏跡を辿ると、すぐに大同心稜(大同心に続く尾根)となる。1時間程急坂を登ると、このまま山頂まで行ってしまうのではないか、と思う頃に大同心の基部に到着。気温は5℃。風もない。大同心に向かって右手に見える小同心に向かい、大同心ルンゼをトラバースする。ルンゼの岩は脆く、滑落しそうで怖い。ルンゼを過ぎてやや登り気味にトラバースを続ける。
小同心の北側の壁に残置カラビナや残置ヌンチャクがあったので近づいてみるが、小同心クラックとはどうも違うようだ。再びトラバースを続け、これ以上進めないところまで進むと、開けて平らな場所に着く。周到にも妻が小同心クラック取り付きの写真をプリントアウトしており、それと見比べ、ここが小同心のテラスであることを確認した。赤岳鉱泉からの所要時間は約1.5時間。
登攀
1ピッチ目:ぼくのリード。取り付きに残置支点はないが適当な岩があるので、120cmスリングをかけてビレイ支点とする。人工壁のホールドのようなガバばかりで、快適に登る。さすがに小同心まで標高を上げると寒く、素手で岩を触ると冷たさを感じる。防寒のためチョークバッグに入れたホッカイロのぬくもりが頼もしい。ルート上にクラック、というかフレークが数か所あり、カムをセットすることができた。チムニーを入ってすぐのところ(取り付きから25mくらい)にピナクルがあり、ボルト2本と奇麗なスリングがかけてある。ここでピッチを切る。
2ピッチ目:妻のリード。チムニーの脇に錆びたピトンが打ってあり、そこに支点を取るとロープの流れが悪くなってしまう。あともうちょっとでチムニーを抜ける、という所で完全にロープがスタックし進めなくなったため、妻はチムニーの途中でピッチを切った。約25m。
3ピッチ目:ぼくのリード。チムニーを抜けたテラスにはピカピカのボルトが2本打ってあった。さらに上には、右と左に狭いチムニーがある。左にルートを取り、ガバホールドで上に進む。この辺りが一番傾斜が強い。辞書くらいの大きさのフレークがボコッと剥がれて冷やっとする。手でつかんでいたので落石は起こさずに済んだ。狭いチムニーを抜けると、後はほぼ歩き。40mくらいロープを伸ばし、小同心の頭でピッチを切る。展望が開け、横岳、赤岳、阿弥陀岳が良く見える。
小同心の頭から横岳直下まではコンテ、というかロープをかついで歩く。ほぼ登山道。途中、大きな岩小屋がある。
4ピッチ目:妻のリード。簡単そうな岩場だが、念のためスタカットで登る。ピナクルで支点をとって、50m一杯ロープを伸ばしてビレイ解除。ぼくが登って横岳山頂に着くと、妻はピーク標を支点にしてビレイしてくれていた。登攀開始から約2時間、無事に登れて一安心。
下山
山頂に着いたとき、少しの間だけ富士山が見えたが、すぐにガスが沸き展望は無くなった。風も強くなり、硫黄岳経由でそそくさと下山。約2時間で赤岳鉱泉。一泊し、翌朝に美濃戸へ下山した。
覚え書き
- 持って行った登攀装備は適量だったと思うが、もう少し削れそう。アルパインヌンチャクを多用すると少し重くなるけど、回収は楽だ。
- クライミング自体は簡単だったものの、ピッチの切り方が不適切だったり、ロープの流れが悪かったりと、アルパイン要素の対応が未熟だった。もっと経験を積もう。
- チムニーは特に声の通りが悪く、40m離れてしまうと叫んでも聞こえない。ホイッスルであっても、思い切り吹かないと音が届かない。
- 最後の1ピッチは、コンテで抜けるのが正解だったのでは、と反省。山頂着が数十分は早くなったはずだ。コンテにしなかった、というよりは、その練習を怠っていたので自信がなかった、が正しい。要練習。