峰の松目沢・裏同心ルンゼ (2016-12-10〜11)

最終更新日

八ヶ岳の峰の松目沢と裏同心ルンゼにてシーズン初のアイスクライミング。峰の松目沢は途中で氷が途切れたので向かって右手の支尾根をハイマツラッセルで稜線に抜けました。個人的にはこの藪漕ぎが一番面白かったです。そしてピークの峰の松目へ。噂通り展望はありませんでしたが、山頂へ至るためのアイスクライミングができてとても充実感に浸れました。裏同心ルンゼは風もなく展望もよく絶好のロケーションで、快適なクライミングとなりました。

メンバー

Eさん、崎間

行程

  • 2016-12-10(土)
    07:00 赤岳山荘
    08:20 峰の松目沢取付き
    12:30 稜線(荷物デポ)
    13:15 峰の松目
    13:45 荷物デポ地
    14:20 赤岩ノ頭
    15:20 赤岳鉱泉
  • 2016-12-11(日)
    07:20 赤岳鉱泉
    08:30 裏同心ルンゼ取付き
    10:40 大同心基部
    11:30/12:30 赤岳鉱泉
    13:30 赤岳山荘

詳細

12/10(土) 峰の松目沢

AM1時、諏訪南ICを降りた所のファミマで山歩渓のK部さんと偶然出合い、美濃戸山荘1Fのロビーで3人で少し歓談した。テーブルとストーブがあってなかなか良い場所。

駐車場で車中泊の後、夜明けとともに赤岳山荘の駐車場まで車移動。7時に行動開始。

雪がほとんど積もっていない北沢登山道を歩く。8時頃に峰の松目沢への分岐に到着。ぼくは数年前に来たことがあるのだけど、積雪量が違うのでイマイチピンとこない。今シーズンはまだ誰も入っていないのかトレースも無い。少々不安に思いつつ、地形的にも橋の数的にも記憶と合っているので、登山道を外れて沢筋へと向かう。西側の尾根を一つ越えて、沢を少々詰めると凍った滑滝の回廊が現れた。これで出だしはバッチリだ。ハーネスとアイゼンを装着し、テント泊装備一式担いで入渓。8時半。

▲峰の松目沢の序盤

積雪は少なくサクサク進める。小さな滝を歩いて越え、何個かの滝が少し大きかったのでロープを出す。Eさんリード。氷は薄いけれどスクリューは効いてるみたい。滝の規模が小さいのでスクリューを使うとしても1つか2つ。コンテを交えツルベで高度を稼ぐ。曇りがちだった空からは、時おり青空と太陽が顔を出す。心配だった氷結もそこそこ良く、水しぶきを浴びることもない。氷の沢をハイキングしているみたい。

▲最初の滝
▲たぶん2つ目の滝
▲最後の方の滝

上部までは氷が繋がっていなさそうに見えたので、途中でアイスクライミングは終了し、向かって右の支尾根にルートをとる。積雪は足首程度。ハイマツ帯が行く手を阻み、体やザックに引っかかって歩きづらいことこの上ない。おまけに木に積もった雪が首筋に落ちてくる。でもこの、誰も通っていない道なき道を稜線目指して登る感じが、ちょっとした冒険みたいでたまらなく面白い。

▲峰の松目沢の終点近くから稜線を見上げる

赤岩ノ頭から峰の松目へ続く稜線に出たのが12時半。しばし休憩し、峰の松目ピークへ空身でピストンする。峰の松目コルを経て小一時間で峰の松目(2568m)に到着した。13時過ぎ。アイスクライミングと藪漕ぎと山頂、青空のキリリと冷たい空気と温かい陽射し。充実感とはこの事を言うのだろう。

▲峰の松目ピーク

ザックデポ地点に引返し、本日のテン場である赤岳鉱泉へ向かう。あとは稜線と一般道をひょいひょいと歩くだけだなー、なんて思っていたら、赤岩ノ頭への道が思ったよりも傾斜があり、かつ歩きにくく、かなりしんどかった。それでも赤岩ノ頭までたどり着くと、見える可能性のあるピークがすべて見えるという抜群の展望だ。硫黄岳から横岳、大同心、小同心、石尊稜、赤岳、阿弥陀岳、などなど。

▲赤岩ノ頭への登り
▲峰の松目を振返る
▲赤岩ノ頭から南八ヶ岳の峰々

赤岳鉱泉から硫黄岳への登山道をつらつらと下り、15時半に赤岳鉱泉着。テントを設営して受付し、缶ビールを購入。外は寒いので、小屋の中の廊下にあるベンチに座って乾杯。しばしくつろいだ。水をもらってテントに戻り夕食。本日のメニューはお湯を入れて5分食べられるアルファ米、日清食品のカレーメシ。それとウイスキーを少し。充実の1日を振返り、心地良い筋肉痛を感じながら19時には眠りについた。

12/11(日) 裏同心ルンゼ

6時起床。ぼくは1時間毎に寒さで目が覚めてしまい、快眠とは言い難い朝だったのだが、Eさんは「寒さ感じへんかったわー」と相変わらず高い耐寒性を呈していた。軽量化優先で朝食もアルファ米。尾西食品のアルファ米は戻るのに20分程かかる。日清食品との違いは何なのだろう。

シーズン最初の雪山はなにしろ寒い。凍える手でハーネスとアイゼンを装着し、7時過ぎに出発。歩き出すと体が温まりポジティブな気分になってくる。本日はジョウゴ沢と乙女の滝辺りを狙っていたのだが、ジョウゴ沢F1はろくに凍っておらず、F2は3パーティーが取付いており隙間なし。さらに、上部へ別パーティー10人くらいが高巻して登っている。これでは登る所がなさそうだと、プランBの裏同心ルンゼへ変更した。

▲ジョウゴ沢F2は満員

裏同心ルンゼ取付きに8時半着。F1で順番待ちはあったものの、その後の流れはスムーズで、さほど待ち時間もなく大同心基部まで抜けられた。ぼくはこれで4回目の裏同心ルンゼだが、これまでで一番天気が良くて寒さもマイルドだった。4~5個出てくる滝のうち、真ん中が一番傾斜があり比較的登りごたえがあった。

▲徐々に開ける展望
▲最上部の滝。奥に大同心

どのルンゼもそうだと思うが、高度を上げるにつれて展望が良く、明るくなっていくのが爽快だ。今日は諏訪湖も見えた。大同心基部まで詰めて10時半。天気が崩れてきて雪も降ってきたので、大同心と小同心を少し眺めた後、大同心稜から赤岳鉱泉に降りる。今日はトレースがしっかり付いて楽だったけれど、大同心稜はトレースが無い状態で下ると迷いやすいので注意したい(実際、ぼくらは2016年1月に大同心大滝を詰めた後に大同心稜を下山した際、トレースが無かったのでかなり迷ってしまった)。

11時半にテン場着。少し時間があったので、ビーコンを雪の中に埋めて、探索・掘出しの練習をしてみた。近くにあるのは分かるけどピンポイントではなかなか発掘できない。難しいものだ。

13時半に赤岳山荘の駐車場まで下山した。シーズン初のアイスクライミングと雪山は、天気に恵まれ充実の山行となった。特に峰の松目沢は貸切で気兼ねなく登ることができた。さほど難しくないし、稜線まで抜けられるし、アルパインアイスの入門にもってこいだと思う。