瑞牆山 (2018-04-28〜30)
メンバー:崎間(L、記)、T尾、kinaco(記)
概要
ほぼ毎年、この時期は小川山か瑞牆山でクライミングしており、今年も瑞牆山に行くことができた。今回は行ったことのないエリアを2つ、新しく訪問した。3日間好天に恵まれ、キャンプ場の混雑もなく、花崗岩のクラッククライミングを存分に楽しむことができた。
- 2018-04-28(土) [晴れ]
06:00 みずがき山自然公園キャンプ場に集合・仮眠 → 9:00 出発 → 10:30/15:00 瑞牆の詩エリア → 15:30 キャンプ場 - 2018-04-29(日) [晴れ]
06:30 キャンプ場 → 07:20/08:00 調和の幻想取付き → 13:15 終了点 → 14:20 取付き → 15:15 キャンプ場 - 2018-04-30(月) [晴れ]
06:00 キャンプ場 → 08:00 Joyful Moment取付き → 10:10 終了点 → 10:40取付き → 10:50/11:30 ズルムケチムニー1p目 → 12:10 キャンプ場・撤収後帰阪
詳細
2018-04-28(土) 瑞牆の詩エリア
T尾家、崎間家それぞれの車でみずがき山自然公園キャンプ場に集合。6時前に到着したときには既に明るかった。テントを立ててしばらく仮眠した後、初日の慣らしということで瑞牆の詩エリアに向かう。位置的にはキャンプ場から近いはずなのだけども、初めてなので迷いにまよい、1.5時間程かけてようやく到着。あいにく、都内のジムの講習会が行われており全ルートにトップロープが張られていた。しかし、お話ししたら気持ちよくルートを空けてくれて、「雪だるま 5.8」と「魚雷 5.9」を登ることができた。
雪だるま 5.8
下部は簡単で、上部4m程が核心のスクイーズチムニー。僕はお腹がつかえてチムニーに入れず、断念して左のフェイスを巻いてトップアウト。他の2人はスムーズに一撃。体型の差か。くやしい。終了点は立ち木。
魚雷 5.9
薄被りのクラック。出だしが濡れていたので左のクラックから回り込んで取り付いた。ハンドは決まるが傾斜があるのでズシリとくる。あと一手、あと一手と我慢したら傾斜がゆるくなって大レスト。最後は左にトラバースするがここも怖かった。終了点は立ち木(このエリアの終了点はだいたいが立ち木のようだ)。
2本ずつしか登れなかったが、15時過ぎに撤収。キャンプ場に戻り早速ビールで乾杯。T尾さんの奥さんが用意してくれた白菜と豚肉のミルフィーユ、それにベーコントマトライスでお腹を満たす。
2018-04-29(日) 十一面岩末端壁【報告:kinaco】
調和の幻想 5p, 5.10a
1p目(5.9+、T尾さんリード):テラスまで簡単に上り、ワイドからスタート。キャメ2を決めてステミングで登りだす。ワイドと平行してフレークが伸びているのでフェイスムーブで登る。フレークが無くなったところでキャメ5のセット。少し広いのでヒール&トゥを決めて少しずつ体を上げる。呼吸がひどく荒くなりあきらめたくなったが「もう少しで楽になるよ!」とT尾さんから励ましをもらい、歯を食いしばって登り切った。初っ端からきつい。リードのT尾さんは見事OS。
2p目(5.8、kinacoリード):ワイドっぽい出だしからフィンガーサイズになる。キャメ0.75を決めてロープを掛けようとしたがロープが挟まり全く動かず、甘く決めていたフィンガーがはずれテンションしてしまう。「チームオンサイト、すみません!」とT尾さんに向かって言うと、ますます自分の踏ん張りの足りなさに情けなくなった。「全然気にしないよ。」との言葉に気持ちを切り替えて何とか進むがスラブパートも良いホールドは濡れていてひやひやしながら登った。直上しようとしたが、「左じゃないか」との指摘に少し回りこんで見てみると立派な木にビレイポイントがあった。二回目なのに、ちっとも覚えていなかった。
3p目(5.9、T尾さんリード):カムはほとんどスモールサイズ。上部にリングボルト一点あり、バランシーなムーブでひやひやする。ほとんどがフェースの登りだったが、後半は特に緊張感があった。
4p目(5.10a、kinacoリード):つるつるの木とスラブ状の岩の間に身体を入れて、バック&フットで2.5m程の木登り。細く途切れがちなバンドを伝い、リングボルトにクリップすると一安心。そのまま右にトラバースして、頭上のカムをセット出来そうなフレークを眺めるが、遠い。途中のポケットにカムを決める人もいるようだが、そこは使いたい重要なホールドなのでランナウトを選択。スラブを登り、無事にカムを決めて、左のハングを目指してまたトラバース。ハングに頭を突っ込んでレストする。ちらりとここまでの足取りをみてみると、30㎝おきにカムを決めるような私がよくもまあこんなにランナウトしたものだと感心する出来栄えだった(ランナウトせざるを得ないピッチなのだけれども)。「チームオンサイト」は早々に逃したものの、このピッチだけは涙を見せずに気合を入れて登ると心に決めていたので、ビレイポイントのテラスに足が着くと心から安堵した。
5p目(5.9、T尾さんリード):いよいよ最後のパートがやってきた。ここが実質一番の核心ピッチとなる。先行パーティー3名が懸垂下降をしてくるのが見えたので、丁度よい、しっかりと休憩をとる。このピッチのためにザックに忍ばせたキャメ6を取り出して準備する。この重さ、トリガーを引くのも力が要る。満を持して、T尾さんが動き出した。キャメ6を決められる所までまた結構ランナウトするので、ビレイする手も汗を握る。「うーむ、ここはどうやって登るのだ」というT尾さんに、むにゃむにゃとした返事を送る。なにしろ、前回、フォローのくせにフォールしてぎゃあぎゃあ喚いたパートなのだ。キャメ6をうまいこと送りながら下部パートを抜けた先輩は余裕のVサイン。私も笑みがこぼれる。しかし、このパートの核心はその後のオフィズスと言える。キャメ4を最初に、そしてキャメ5をセットした後、力が尽き無念のフォール。フォローの私は前回意味が分からずなんとかA0でぬけたオフィズスだったが、今回アームバーとTスタックがしっかりと決まり、テンションをかけずに抜けることが出来た。身体も結構奥まで入り、私のサイズに合っているようだ。しかし、リードでカムをセットしながら、と考えるとうまくイメージすることが出来なかった。頂上に着いて、充足感で登頂を祝う。
下降は、4p目終了点と3p目終了点で切って、計3回の懸垂で地上に降りた。丁度降りた場所には憧れの「春うらら」と「トワイライト」にトライする人たちがいて、いつかは私も、と高揚した。
今回、調和の幻想は2回目のトライでした。しかしながら、前回は直前で恐れをなして全ピッチフォローでついていくばかりだったので、リードでのトライにドキドキとしていました。絶対に落ちることの出来ないパートばかりなので、イメージトレーニングをすれば吐き気をもよおしていましたが、登り終えてみて、本当にやりがいのある素晴らしいルートだと改めて感じています。今度トライするチャンスがあれば、奇数ピッチをテンションなしに気持ち良く登りたいものです。
4/30(月) 十一面岩奥壁
Joyful Moment 5p, 5.9
ベルジュエールの取付きまで50分というハイペースだったものの、そこから豪快に道を間違えてしまい、行きつ戻りつして2時間かけてようやく取付きに到着。おかげで周辺の地形は把握できた。誰かに連れて行ってもらうのではなく、初見のメンバー同士でアプローチを探すのもこの手のクライミングの醍醐味です。
1p目+2p目(5.9+5.8、崎間リード):2p目は短いようなので1p目と繋げて登ることにする。出だしにキャメ5をセット。左上するクラックは幅が広くジャミングできず、カンテ登りのようにヒールフックを交えてのフェイスクライミングとなった。ほふく前進のトラバースで3p目のフレークに到着。灌木とカムで終了点をセット。
3p目(5.9、T尾さんリード):大フレークが2枚重なったラインを、ここもフェイス的なムーブで豪快に登る。上部は傾斜が落ちるがプロテクションが取りづらく、なかなか緊張感がある。
4p目(5.8、崎間リード):小ハングからスタート。キャメ1がバチ効きで、奥の方にハンドジャムも小気味よく決まる。やや窮屈なムーブで小ハングを越えると問題のワイドセクション。リービテーションが決まるとの事だったのでハンド・フィストを決めてみたものの、そこからどうすればいいか分からず、結局クラックの奥にフィストを決めて登る。1箇所、体の向きを変えたい部分があり、動こうとするもののカムが引っかかって進退窮まり、ちょうどすぐ横にリングボルトがあったのでA0してしまった。テラスに抜けてビレイ。
5p目(5.7、T尾さんリード):巨岩の間を歩いて進み、奥の壁の右側のクラック沿いをひと登りすると岩頭にたどり着く。岩頭で握手を交わし、しばらく絶景を楽しむ。
下りは十一面正面岩側の岩をクライムダウンし、踏み跡を辿って岩場を回り込むように下れば取付きに戻れた。
ズルムケチムニー1p目 5.8
まだ時間があったので、ズルムケチムニー1p目に僕のみトライする。大きいサイズのキャメをぶら下げて、左差しで背中を押し付け尺取り虫の様に少しずつずり上がる。ホールドが豊富で登りやすい。下部にはキャメ4とキャメ5がしっかり決まる。中間部でチムニー内にホールドが出てきた所で体を右差しに変え、外側のフットホールドも活用した立体的なムーブでずりずりと上がる。面白い。例えようのない面白さだ。キャメ5をもう1つ決め、キャメ4サイズに再び狭まった所で外に出た。立ち木に残置スリングとカラビナがあったのでロアーダウン。疲れたけれど癖になる楽しさだった。
感想
瑞牆山は小川山に比べて敷居が高い雰囲気がある。実際、トポを見ると5.11とか5.12のマルチピッチルート、それもクラックが中心で、5.13もごろごろある。しかしながら、5.8から5.10前半のルートも探せば多くあり、シングルピッチでもマルチピッチでも面白いものが多いように思う。良質な岩質に加え、一流のクライマーが開拓している事がその要因だろう。
巨大な岩塔に刻まれたクラックにジャミングを決め、カムでプロテクションを取り、パートナーとピッチをつむいで頂上に立つという行為は、クライミングの原点である気がする。キャンプ場の雰囲気も小川山より落ち着いていて居心地がいい(料金が値上がりしたのが玉に瑕だけど)。もっと自分のクライミングレベルを上げられれば、もっと素晴らしいルートに挑戦できるのだろうな、そう思うと、日々のトレーニングのモチベーションアップにもつながる。
初版:2018-05-03、最終更新:2018-05-03