雪彦山 すべり台 ルート(再)開拓 (2018-12-01)

最終更新日

行程

9:10 雪彦山登山口
9:50 地蔵東稜取付
11:00/15:30 すべり台
16:00 地蔵東稜取付
16:50 雪彦山登山口

詳細

関西のクライマーを育みつづけている雪彦山(せっぴこさん)は洞ヶ岳(ほらがたけ)、三辻山(みつじやま)、鉾立山(ほこたてやま)の総称であり、洞ヶ岳はさらに大天井岳(おおてんじょうだけ)、地蔵岳(じぞうだけ)、不行岳(ゆかずだけ)、三峰岳(みつみねだけ)という鋭鋒から成る。

そのなかで最もクライマーに登られているのは地蔵岳の東稜であろう。大スラブから始まり、チムニー、ナイフリッジ、最後にフェイスと続く変化に富んだ6ピッチで最終的に地蔵岳の頂で終了するこのルートは、初心者でも登りやすい上に満足度も高い。地蔵東稜から派生するルートが通称「すべり台」である。

地蔵東稜の2ピッチ目からトラバースした先にある衝立状の15m程の岩盤が、すべり台というには急すぎる角度で立ちはだかり、登攀意欲をそそられる。半年前にこのすべり台を訪れた際に、向かって左にコーナークラックがあることを認識した。上部こそきれいな状態であるものの、クラックの下部から2/3までは土、苔、雑草や何かの根っこが生い茂っていた。それらを掃除して取り除けば上部まで繋がると期待できた。涼しくなったら掃除して登りたいな、そう思ってようやく今回、掃除しに行った。

目的が掃除だったので所属山岳会のメンバーを誘うには忍びなく、ロープソロの練習も兼ねて当初は一人で行く予定だった。いちおう山岳会には計画を知らせていたら、掃除予定日の数日前に二人のメンバーが一緒に行ってくれると連絡があった。ありがたい。

▲掃除前
▲掃除後

三人で掃除できたおかげで、2時間後にはクラックはあらかたきれいになり、すべり台の上まで1本のラインが繋がった。土とシダの下から朽ち果てたハーケンが3本でてきたが、近年フリーで登られた形跡はなさそうだ。トップロープで試登後、リードでのレッドポイントを目指す。下部はクラックが狭くて少々勇気が要るムーブとなる。プロテクションは要所で取れるものの、ジャミングは効かせられずレイバックの体制でセットせねばならずパンプする。上まで抜けて、気分は初登者だ。とりあえず現場にいた三人で初登とみなし、「稜ピコ 5.10b NP」と設定して盛り上がる。

清掃後の初リード。プロテクションは全てカム、効きは良好で、キャメロット換算#0.3~3を使用した。小さいサイズが複数あると安心

感想

後日、友人から頂いた情報によると、エクストラルートとして過去に登られており、V+とグレーディングされていた。残念ながら初登ではなく、再開拓に終わったようだ。コーナーをほぼレイバックで抜けるパワー系、ジャミング不要、岩は硬くしっかりしていて快適で面白いルートであることには間違いない。初登でないのは残念だけれど、長らく登られておらず情報もないクラックを掃除し、リードで完登するというのは実に楽しい経験だった。MさんとFさんに感謝。