雪彦山 紅菱会ルートの掃除(2021-10-10)

最終更新日

1年ほど前、ちゃんと登ろうと思って紅菱会ルートの掃除をした。壁のコンディションがあらかたよくなったので、昨年のうちにリードしようと思っていたものの、結局、その後トライすることなく放置していたので、再び掃除しに行った。

メンバー

崎間(単独)

行程

  • 2021-10-10(日)
    06:40 加古川市
    08:10 賀野神社
    08:50/09:10 地蔵岳山頂
    09:30/11:50 紅稜会ルート掃除・試登
    12:10/12:30 地蔵岳山頂
    13:00 賀野神社

詳細

アプローチ

06:00自宅発。車のタイヤが減っているせいか、スピードを出すとプルプル震えて怖いので、なるべくゆっくり走行する。累計走行距離は16万kmに迫ろうとしているので、あとどれくらい走ってくれるか心配になっている。来年の車検を通してあと3年間乗るのがいいかな、などと考えているといつもの賀野神社前の広場に到着。

地蔵岳のピークまで登山道を歩き、正面壁側の支点から懸垂下降で紅菱会ルートを降りる。2ピッチ目の終了点に荷物を置き、懸垂下降したロープをいったん抜き、ラビットノットで終了点にフィックス。掃除道具と登り返し用のギアを身に付け、グリグリで下降しながら2ピッチ目の掃除を開始する。

▲地蔵岳山頂で準備
▲2ピッチ目終了点にロープをフィックスしザックを置いて下降

掃除

前回掃除したときは、土や苔の層が多く付着しており、しかも雨が降っていたのでブラッシングした端からドロドロになって、なかなかきれいにならずしんどかった。多くの苔を壁からむしり取り、投げ払った。

今日は、時折小雨に見舞われたものの、岩はカラッと乾いていて、ブラッシングするとどんどんきれいになりフリクションがよくなる。それに、前回の掃除効果が継続しているのか、そんなに汚れていなかった。ルート上に苔はほとんどないし、岩の隙間から生えていたブッシュもわずか。前回の掃除は、無駄ではなかった。

剥がされた苔の立場からすると、1年程度ではとうてい復活できないダメージを負った訳で、それを喜んでいる僕という人間は、自然を愛する側ではないな、とは思う。

▲核心部分を掃除する

ルートの核心部となる垂壁部分は、使うであろうホールドに目星を付けて丹念にブラッシングする。広めのブラシで岩の表面をこすり、細めのブラシに持ち替えて隙間をきれいにする。フリクションを確かめて、また広めのブラシで岩全体を掃き清める。この作業を幾度も繰り返していると、自分がそのための機械、それしかできない存在になったかのような気持ちになる。修験道の行場としてしられる雪彦山で岩を磨いていると、クライミングや登山という枠を超えて、悟りを開いてしまいそうだ。

さて、1年前は4時間かけても完了とは言い難かったけれど、今回は2時間程でめぼしいホールドは全てブラッシングを完了できた。キーホールドと思わしきあのカチも、あのスメアポイントも、フリクションばっちりだ。登り返すついでにトップロープ状態で試登してみると、だいたいのムーブは解決した。

▲どうしても、体は苔や土埃にまみれてしまう
▲2ピッチ目の一番下まで降りてきて、掃除終了

下山

せっかく掃除が終わり、ムーブも解決したので、できればロープソロでレッドポイントといきたいところだけれど、2時間もブラシを握りしめていたので握力が心もとない。後続パーティーも登って来られたので、撤収とする。3ピッチ目をロープソロでリードし、懸垂下降し、ザック一を担いでまた登る。

壁を掃除することは、いわゆるセルフレスキューのトレーニングに持ってこいだ。確実にロープをフィックスし、岩壁を降り、停止し、登り返す。セルフレスキューのうち自己脱出と呼ばれる技術は、言ってしまえばこれだけだ。アルパインルートを掃除することで、実践的な自己脱出力が養われるのではないだろうか。

▲下山途中に正面壁を見上げる。クライマーが2人、紅菱会ルートに取り付いている