戸台川(2024-02-10~11)

最終更新日

1月に続いて再び南アルプス戸台川へ出かけた。今度こそ戸台川上流から稜線に抜けるつもりであったものの、調子が良くなく、歌宿沢と上ニゴリ沢をうろうろとした。

メンバー

崎間(単独)

行程

  • 2024-02-09(金)
    21:15 加古川市発
  • 2024-02-10(土)
    00:00/02:30 養老SA(仮眠)
    05:35/05:55 仙流荘駐車場
    07:05 戸台登山口
    10:40/14:00 歌宿沢出合手前(仮眠)
    14:00/16:10 歌宿沢偵察
    16:10 歌宿沢出合手前(幕営)
  • 2024-02-11(日)
    05:30 起床
    06:45 幕営地発
    07:10 上ニゴリ沢出合
    10:00 南アルプス林道
    10:20/12:20 上ニゴリ沢F2
    15:20 戸台大橋
    16:15 仙流荘駐車場
    23:50 加古川市

詳細

1日目:歌宿沢周辺

5速MTエブリイの運転にもだいぶ慣れ、山行に期待を膨らませ高速道路を快調に進む。しかし眠気はいかんともしがたく、午前0時、養老SAで仮眠する。フルフラットにした後席は快適な寝床だ。1時間だけ眠るつもりが2時間半が経っていた。急いで再出発し、仙流荘駐車場に5時半着。

駐車場から戸台登山口まで5kmの車道を歩き、続いて戸台川の河原を歩く。足首までの積雪。トレースなく道が判然としない。徒渉点を大きく通り過ぎてしまい引返す。この1ヶ月、少しはトレーニングしたし、荷物も軽量化した。にも関わらず遅々としたペースでしか進まない。

▲雪がまぶしい河原を歩く

10時に丹渓山荘跡を通過すれば、翌日午前中には稜線まで抜けられる算段だったが、山荘跡まであと1時間くらいの地点ですでに10時半を過ぎている。このまま進んでもジリ貧だ。そもそもすごく眠くて歩くのが辛い。意を決し、そこらで仮眠することにする。

近くに水流のある小高い平坦地を整地してテントを張り、靴を抜いてシュラフに潜る。じっとしていると体温が羽毛に閉じ込められじんわりと全身が暖かくなる。目を閉じて沢の流れる音や鳥のさえずりを聞きながらうとうとする。南アルプスまではるばるやってきて、快晴下のテント内で横になるとは、なんたる贅沢。

▲小高い平坦地を整地してテントを張る

3時間程ごろごろ過ごしたおかげで体力と気力が回復した。いいお天気だし、水汲みがてら歌姫の宿を偵察に出かける。新版アイスクライミングによると、歌宿沢出合から20分程で上部に氷瀑が見え、さらに15分でF1着とある。しかし30分登っても1時間登ってもそれらしきものは見えない。もしかして詰めている沢が違うのかと隣の沢にトラバースしたものの、こちらの方がもっと違っていそう。やっぱり左のルンゼ状を詰めるのかなと諦めてテントに戻る。

アルファ米とスープと味噌汁の夕食でお腹を満たし、明日に備えて沸かした湯をテルモスに入れておく。夜空を見上げると葉の落ちた木の向こうに星が輝いている。浅い眠りで長い夜を過ごす。

2日目:上ニゴリ沢周辺

5時半起床。昨日、テント内で踏んづけてしまい凹んだテルモスは保温力が激減しており、夜に入れた熱湯がすでに冷水になっている。ジェットボイルで水を温め、拾っておいた氷を追加してお湯をつくりながら、今日はもう帰ろうかなと思う。スープとパンの朝食を済ませ、テントを撤収して出発。

幕営地から少し下ると上ニゴリ沢出合。その上流に氷瀑らしき白い物が見える。ちょっとやる気が出て、あそこまで行ってみようと沢を詰める。テント内では後ろ向きだった気持ちが、ここまで歩く過程で幾分か前向きになったようだ。

▲上ニゴリ沢出合

例によってトポの参考タイムよりも僕の歩みは遥かに遅い。2~3倍の時間がかかる。加えて、本来は途中で左の沢へ行くのを見逃して水流沿いに詰めてしまう。岩の上に氷が張ってちょっと悪いので、一休みして登攀装備を身に付ける。ついでに沢の水も汲んでおく。氷だと思ってアックスをフルスイングしたらすぐ下が岩で火花が散る。倒木にアックスを叩き込んで手がかりとする。本チャン的で大変楽しい。最後はそこそこ急な雪壁を林道まで這い上がる。

▲上ニゴリ沢を遡行

上ニゴリ沢の氷瀑を見るため林道の北沢峠側にあるトンネルを抜けると、金網の向こうのF2と、林道下にF1がある。F1からは水が流れている音が聞こえるのでパスして、F2を登る。

アイススクリュー2本で支点を構築し、ラビットノットでロープの末端を固定する。いつものようにグリグリをセットしてリード開始。氷の上にすかすかの薄い氷が板状に張り付いているので、登れば登るほど氷の表面が剥がれる。階段状なので足場は安定している。手が非常にかじかんで、トップアウトした後、血流が指に戻ってくるあの痛みに悶絶する。

▲上ニゴリ沢F2

上部には滑滝が続いているけれど、アイスでロープソロする煩雑さを避けたいし、帰りの林道歩きも長いので、トップロープでもう一度F2を登って終了とする。

足首までの積雪で地味に体力を削られながら南アルプス林道を下山。15:20戸台大橋、16:15仙流荘駐車場。戸台大橋から仙流荘までのロードは前回よりもタイムが縮まった。伊那市街でガソリンを注いで、小黒川PAで夕食を摂り帰途に着く。

▲南アルプス林道から眺める甲斐駒ヶ岳(右)と鋸岳(左)

装備

60mダブルロープ×1、アイススクリュー×10、クイックドローとスリング類適量、ジェットボイル、テント泊装備一式

感想

戸台川でまったりして、歌宿沢を偵察して、上ニゴリ沢を林道まで詰めて、最後に氷瀑を登った。予定とは違ったものの、計画どおりに行かないことも含めて楽しめた。特に、誰もいない戸台川での昼寝は最高だった。