裏同心ルンゼ右俣、ジョウゴ沢 (2011-12-17〜18)

最終更新日

メンバー

崎間(L、記)、kinaco

行程

  • 2011-12-17(土) [快晴]
    美濃戸 7:20/7:50 → 赤岳鉱泉(テント設営) 9:40/10:40 → 裏同心ルンゼF1 11:00/11:20 → 大同心基部 14:00 → 大同心沢出合 14:40 → ジョウゴ沢F1 15:00/16:30 → 赤岳鉱泉 16:45
  • 2011-12-18(日)[くもり]
    赤岳鉱泉アイスキャンディ 8:00/11:30 → 美濃戸 12:50

詳細

1日目

4:30に自宅を出発し、車のまばらな中央道を走って7:00頃に美濃戸口に到着。ここから美濃戸までは緊張の林道。昨シーズンは古いスタッドレスで突っ込み、アイスバーンでスリップして坂を登れなかった苦い思い出がある。だから今年は新品のスタッドレス。気合いを入れて挑むが、道には雪も氷もほとんどなく、あっけなく美濃戸に到着。赤岳山荘に駐車料金を支払い、赤岳鉱泉へ向かう。

テント泊装備にクライミングギア一式を詰めたザックの重みに喘ぎながら、約2時間で赤岳鉱泉に到着。アイスキャンディがそびえ立っている。天気は快晴。陽だまりの中テントを設営し、サブザックにクライミングギアを詰める。しばしくつろいだ後、硫黄岳方面へ登山道を進む。大同心沢出合を過ぎて5分くらい登ると裏同心ルンゼに出会う。トレースを辿って沢筋を30分くらい進むと、F1が見えた。いよいよ、初のマルチピッチアイスクライミングだ。はやる気持ちを抑え、F1基部でアイゼンを装着する。氷点下15℃。

裏同心ルンゼ右俣

向かって左の滝には1パーティーがトップロープを設置している。裏同心ルンゼのF1はフリーで抜けている人も多いと聞くので、そこは支流なのだろうと勝手に解釈し、ぼくらは向かって右の簡単そうなナメ滝を登る。今思えば、これが間違いの始まりだった。裏同心ルンゼのF1は向かって左の滝であり、ぼくらは支流(裏同心ルンゼ右俣とでも呼ぼうか)への勘違い登攀の第一歩を踏みこんだのだ。

しばらく上に登っていると、少し傾斜の強い(が短い)滝が現れた。ここが核心のF2か、と勘違いし、ロープを出す。妻にビレイしてもらい、リードで登る。氷は硬すぎず柔らかすぎずで登りやすい。アイススクリューでランニングビレイを2本取り、傾斜のある部分を越える。雪の積もったナメ滝を歩き、もう一段の滝(ここも短く、2mくらい)の手前でアイススクリューを2本打ち、ビレイ点を作った。ぼくはアイススクリューでビレイ点を作ることが初めてなので、好きなところでピッチを切れることに新鮮さと面白さを感じた。フォローの妻はサクサクと登ってくる。

再びぼくのリード。短い滝を越え、雪の積もった谷を登る。少し尾根を登って、カムと灌木でビレイ点を作る。ちょっとだけ日が当たって、ちょっとだけ暖かい。フォローの妻を迎え、そのままリードしてもらう。

妻は50mいっぱいまで谷を登り、大木でビレイ点をつくってくれた。ぼくはフォローで登る。滝は全然出てこない。そもそも、人気ルートなのにトレースがないのがおかしい。この辺りでどうも裏同心ルンゼとは違うなと感じたが、傾斜が緩く短いとはいえ凍った滝を登り、まっさらな雪の谷を、まぶしい稜線目指して妻と二人登って行くことに心地良さを感じ、正規ルートを辿ることはどうでも良くなってきた。

ビレイ点に着くと、その先は滝は現れなさそうなので、ロープを巻いてコンテで登る練習をした。谷の斜面を登り切った稜線はそのまま大同心稜に続いている。天気快晴。深い青空。辺りの木々の枝という枝には雪が付き、青い海の中の白いサンゴみたいに広がっている。日光の温もりを感じながら大同心稜のトレースに着いたのが14:00。そのままトレース沿いに下り、14:40に基部の登山道へ戻る。

ジョウゴ沢

なんとなく登り足りないので、ジョウゴ沢へ偵察に行く。15:00にF1着。ガイドの講習らしきパーティーがトップロープを張っていた。右の傾斜が緩い部分を登って遡上すると、F2が見えた。氷の裏側に水流が見える。薄そうだなと思っていると、上から2人パーティーが懸垂で降りてきて、「氷薄いですよ。3cmくらい」と教えてくださった。薄い氷をリードで登るのは怖かったので、F1とF2の間にある氷でアイスボルダリングしてみるが、傾斜が緩すぎてあまり面白くない。

F1に戻り、トップロープの張られていない部分でリードしてみる。ここも薄氷の裏側に水流が見える。これはこれで風流だなと思う。滝を抜けた所にボルトが打ってあるので使わせてもらう。アイススクリューをセットした状態にしておき、妻がアイス初リード。特に問題なく登っていた。トップロープをセットし、2本ずつ登ったところで、日が陰り寒くなったので撤収。16:45にテン場に戻る。今日の夕食はキムチ鍋だ。

2日目

朝起きるとテントがバリバリに凍っていた。氷点下17℃。今日はアイスキャンディで垂直のアイスを練習するつもり。ゆっくり7:00起床。8:00頃に小屋で利用料 1000円/人 を払う。トップロープの設置方法を教えてもらい、クライミング開始。昨日オープンしたばかりだというアイスキャンディーの氷は硬くてもろくてなかなか難しい。1本目、半分ちょっと登ったところで足が外れてロープにぶら下がってしまった。なんとかトップアウトしたものの、これでもかと前腕が張った。妻と交互に計6本登るとへとへとになった(前腕が)。2本目以降はなんとかノーテンションで登れるようになった。硬い氷にアックスがカツンと上手く刺さった瞬間はなんとも言えない爽快感を感じる。

シーズンはじめのアイスクライミングに満足したので、11:30、赤岳鉱泉を後にする。道の駅こぶちさわでカレーを食べ、小淵沢ICから中央道に乗る。渋滞にはつかまらず、16:30には自宅に着いた。

覚書き

我が家にはリーシュレスのアックス(ペツル クォーク)は1対のみなので、ぼくと妻の右手にそれぞれ装備し、左手はリーシュ付きアックス(ぼく:ブラックダイヤモンド レイジ、妻:ペツル アズター)とした。アイススクリューのセット、回収が楽に行えた。クォークには流れ止めのスライダーリーシュを石付きに付けた。石付き部分を付いて歩いているときに、スライダーリーシュのカラビナが石付きから外れることが何度かあった。金属同士が接触したためだろう。次回からは石付きに直接カラビナを通さず、細引きのループを介そうと思う。

セカンドの確保はイタリアンヒッチが便利。セットを素早くできるし、ロープが凍っても重くならない。プラティパスに入れたままの水をテントの隅っこに放ったまま眠ったら、朝には半分凍っていた。夜のうちにお茶を沸かしてテルモスに詰めておくべきだった。

登攀装備

  • 共同:50mシングルロープ、リンクカム(0.75)、ヌンチャク×4、アルパインヌンチャク×4、アイススクリュー(13cm×3、16cm×2、19cm×1)
  • 個人:アックス、アイゼン、ハーネス、ビレイ器、スリング120cm×3、環付カラビナ×3、カラビナ×4、プルージックロープ×1、