雪彦山 加古川~紅菱会ルート(2023-09-16)

最終更新日

関西の代表的マルチピッチクライミングエリアである雪彦山。そのなかの一つに、地蔵岳正面壁を3ピッチで山頂へ抜ける加古川〜紅菱会ルートがある。これまでに、トライ、掃除、掃除、トライの累計4日感登った。前回のトライは2年前の10月、まだ完登はしていない。累計5回目となる今回、そろそろ長年の課題を解決しなければと壁に向かった。

メンバー

崎間(単独)

行程

  • 2023-09-16(土)
    07:50 加古川市
    09:05 賀野神社
    09:45 地蔵岳正面壁取付
    12:55 地蔵岳山頂
    13:40 賀野神社
    15:10 加古川市

詳細

1ピッチ目(5.10c)

9月も半ばを過ぎたというのに蒸し暑く、アプローチを歩くだけでTシャツが汗でグショグショ。地蔵岳正面壁の取付から1段下がった所にある広めのテラスに荷物を置き、立派な木にスリングを巻き付けてビレイヤーとする。先程手ぬぐいて拭いたというのに、もう前腕から汗が吹き出ている。少しでもフリクションを増そうと、液体チョークを手の平に擦り込む。ロープソロの準備と確認をして、いざ離陸。

ややブッシュがうるさい下部を10m程登ると傾斜がきつくなる。地味な見た目ながら、逆層ホールドが多くてなかなかに厳しい。ボルトはしっかりしているので、思いきって立ち込んで手を伸ばすと適度な場所に適度なホールドがある。ふと、登山道からハイカー達の「登ってる人がいる」「わ~すごい」という声が聞こえ、応援されているような気持ちになる。遅々として進まないクライマーにはさほど興味はなかったようで、ハイカー達が過ぎ去った静寂のなか、正面壁と1人向き合う。

どうにか核心を突破し、傾斜が落ちた壁を掃除しながら20m程登り、やっとのことで1ピッチ目の終了点に到着。考えてみれば、このピッチを完登したのは今回が初だ。

終了点にロープをフィックスし、スタート地点まで下降して、荷物を背負ってクリーニングしながら登り返す。1ピッチ目は長いのでロープが伸びてユマーリングがやりにくい。トップロープ状態でA0しながら登る。再び1ピッチ目終了点に到達するとくたびれたので、靴を脱いでしばし休憩。風が心地よい。

▲1ピッチ目を登る

2ピッチ目(5.11b)

2年前に解決したムーブはもう余り覚えていない。行けばなんとかなるだろう。ミウラーの靴紐をしっかりと締め、ソロシステムを入念にチェックして、登る。2ピン目にクリップした後に、ロープが弛まないよう流れ止めのプルージックをセット。これで、たとえフォールしても大きく落ちることはないだろう。

涼しい風が吹いていて、岩はパリパリに乾いている。この上ないコンディション。縦ホールドをつないで高度を稼ぐ。核心と思われるトラバースはリーチで解決し、あとはだましだまし上に登る。2年前にトライしたときは、この辺りで猛烈に前腕がパンプしていた。ロープを背負って登っていたせいもあったかもしれない。

今回、ロープは背負わず地上に置いているので、それだけでも2kg程負担が減っている。それに加えて、ここ2ヶ月間はボルダリングジムでのつなげものトレーニングをして持久力を鍛えてきた。これらの効果によって、全然パンプしなかった。余裕を持ってクラック部分を越え、簡単なルンゼ状を経て終了点に到着する。やった。

▲2ピン目にプルージックをセット。この上が核心

3ピッチ目(IV)

最後はプロテクションのほぼない簡単な壁を10m程。逆層ホールドが多い雪彦山において、このピッチはポジティブなガバばかり。地蔵岳山頂直下にある終了点で、本日のクライミングを終える。

▲地蔵岳山頂

感想

何度もトライを重ねただけに愛着が湧いたこのルート、やっと完登できて、肩の荷が降りたような、ちょっと寂しいような、不思議な気持ち。あまり登られていないのか、ところどころホールドには土が詰まって草も生えてしまっていたので、引っこ抜きながら登った。2ピッチ目の核心部は傾斜が強いこともあり、しばらくは掃除なしでも登れそう。1ピッチ目と2ピッチ目は距離があるので、登り返しが大変だった。ロープソロの辛いところ。そういうのを引っくるめて、充実のクライミングになった。

▲帰りの登山道でみかけたアナグマ