雪彦山 友人登路 (2019-04-13)
友人登路は兵庫県のクライマーを育む雪彦山(せっぴこさん)にある4ピッチのクライミングルート。最高グレードは1ピッチ目の5.11b。初めてそのピッチに触ったのは2011年3月。東京へ転勤する直前、クライミングを初めて間もない頃だった。トップロープで触らせてもらったが、余りに難しすぎて意味が分からなかった。2回目に訪れたのは2014年4月。転勤から帰ってきて1年が経った頃、今の山岳会メンバーと登った。少しはクライミングの経験も積み、5.11aのルートもいくつか登れていたのでなんとかなるかと思ったが、やっぱりどうにもならず、核心はアブミで越えた。
そして5年。同じく雪彦山にある温故知新というマルチピッチルートへ行きませんかと、山岳会の後輩から声がかかった。それなら友人登路から継続するといいよ、と誘い返し、因縁のルートへ再チャレンジする切符を手に入れた。
当日楽しみ過ぎて4時半に目が覚めた。取付きに着いたのは8時半。1度目のトライはホールドを探してムーブを探り、ピンにヌンチャクをかけて降りてきた。2度目、このトライで完登するつもりだったものの、3ピン目から4ピン目への微妙なスメアが決まらず無念のフォール。ここで諦めたら、つぎはいつチャンスがあるか分からない。パートナーに懇願し、3度目のトライ。
まず出だしからバランスが悪いものの、2ピン目まではフットホールドがあるので、まあなんとかなる。そこから上、しっかり足を載せられる部分はなくなり、極薄エッジにつま先を引っ掛ける。おまけに手掛かりも薄い。それでもなんとか落ちずに壁に張り付いていられるのは、摩擦力が高い岩質のおかげだろう。スメアリングを信じて足に力を込め、思い切ってハイステップ。アンダーを効かせて立ち込む。ガバポケットを掴んだら一安心、と思いきや、その上もなかなか勇気がいる。でもここまで来たのだから落ちたくない。パンプした両腕で掴むホールドは心もとなく、レストばかりですごく時間をかけて、なんとか1ピッチ目をフリーで完登できた。
8年前よりは体重が軽くなって細かいホールドが持てるようになり、ムーブの引出しも増えたことが、レッドポイントできた理由だと思う。8年間、よくも諦めずにクライミングを続けてきたなと、今回ばかりは自分自身を褒めたい気持ちだ。それもこれも、形を変えずにずっと存在し続けてくれた岩場あってこそ。
以降はパートナーにリードをまかせて僕は荷物持ちに徹する。友人登路(4ピッチ、5.11b)と温故知新(6ピッチ、5.10b)を継続登攀し、お互いに成果を得た充実の1日となった。