京都北山 ゲロク谷右俣 (2018-07-22)
メンバー:崎間(L、記)、M村、K林
概要
個人的に今シーズン2本目(通算5本目)の沢。どこに行こうかと 全国版のガイドブック をぱらぱらとめくり、京都北山にある初中級の沢に目が止まった。それがゲロク谷。登れる滝が沢山ありそうな点と、京都北山という場所に興味を引かれた。山行結果は、ほぼすべての滝を直登し、ピークに抜け、トレースのあまりない尾根を読図して下山、という充実のものであった。
- 2018-07-21(土) 20:00 梅田モンベル前(集合) → 22:20 須後駐車場
- 2018-07-22(日) 5:40 須後駐車場 → 7:30 カズラ谷出合 → 8:00 ゲロク谷出合 → 9:30 二俣 → 11:20 911ピーク → 13:30 小ヨモギ谷 → 14:40 須後駐車場 → 17:50 江坂 → 18:10 梅田(解散)
詳細
(1) 須後~カズラ谷出合
須後駐車場で仮眠から目覚めるとヒグラシが盛大に鳴いている。簡単な朝食を済ませ予定より約1時間早く出発(今日も猛暑日のようなので、少しでも涼しい時間帯に行動しようという目論見)。京都大学の研究林への入林申請を投函し、森の中へ進む。かつて木材や木炭を運んでいた森林鉄道の軌道がまだ残っており、スタンド・バイ・ミーよろしく線路の真ん中を闊歩する。密度の高い広葉樹林に陽射しが遮られ、思ったよりも暑くない。途中、崩壊した軌道跡を巻いたりして、2時間弱の歩きでカズラ谷出合に到着。登攀装備を装着し入渓する。
(2) カズラ谷出合~ゲロク谷出合
ようやく入った沢の冷たさに喜びながら、きれいな水といろいろな模様の石で構成された沢を歩く。所々ちょっとした滝があるが問題なく登れる。
(3) ゲロク谷出合~二俣
カズラ谷から右の支流を進むといよいよゲロク谷だ。少し進むと二条の滝がお目見え。高巻く記録が多いが、適度にホールドがあるしプロテクションを取れそうなクラックも見えるので、直登してみましょうかとロープを出す。崎間リード。弱点をついて、右側の水流から取付き、中央のバンドで左側の水流に移動して抜ける作戦。3m程上がったところでクラックの奥にマスターカム1番を入れるものの、水流とヌメリとクラックガタガタ具合から、なかなかしっかりセットできない。時間をかけると滝のシャワーで体温を奪われてしまうが、1本目なので納得行くまでやり直す。ようやくしっかりセットできてロープをクリップ、左手で頭上に掴んだガバホールドに力を入れクライミングを再開しようとした途端、レンガ大のホールドが剥がれて滝壺に落下。僕も落下。幸い、しっかり決まったカムが墜落を止めてくれた。気を取り直して再び登るがまたホールドが剥がれるのではと恐怖感が付きまとう。慎重にクライミングし、想定していたライン取りでトップアウトする。プロテクションは、マスターカム1番、ハーケン2枚、キャメロット00番の計4個(うち2個は満足に効かせられなかったので、墜落したら吹っ飛んでいたと思う)。
続く二俣手前の滝は、下部が空洞になっていて上部はトイ状でなかなか水流が速い。滝の直登は無理だしその横も微妙だなあどうしようかなあと思っていると、M村さんが左側から登れそうだと力強い発言。リードをお任せする。出だしにマスターカム2番、抜け口手前にハーケンでプロテクションをセット。抜け口の一歩が悪いようで何度か行きつ戻りつしたものの、意を決して見事に突破。
二俣手前の滝を抜けると二俣。2つの滝を高巻くことなく登れたので、スマートに二俣まで辿り着けた(通常は微妙な高巻きをこなして懸垂で下降する模様)。陽が当らない沢の底でシャワーに濡れた身体が冷えて寒さを感じる。K林さんの唇は紫色になりかけている。陽当りの良い場所でしばし休憩。まさかこの酷暑に標高1000m以下の低山で陽当りを渇望するとは想像できなかった。
(4) 二俣~911ピーク
いきなり8m滝から始まるがK林さんが先陣を切ってフリーで突破する。他2名は後に続く。ここからしばらく大小の滝が連続する。フェイスだったり凹角状だったり、変化に富んで面白い。いずれも絶妙にホールドがあるので、切込隊長に従ってどんどん突破していく。緊張感がスパイスとなり、極めて爽快だ。
稜線に近づくにつれて宿命的に水流は減ってぬるいお湯の水たまりみたいになり、倒木が多くなり、小さな羽虫も増え、快適とは言い難くなる。倒木は今年7月上旬に降り続いた大雨の影響だろうか。最後は少し薮を抜け、登山道のある稜線に到着。大休止。911ピークには大きな杉の木があり、ピーク標が下げられている。
(5) 911ピーク~小ヨモギ谷~須後
下山は911ピークの北から北西に伸びる明瞭な尾根を辿ることにする(登山道なし)。暑さが心配だったが木陰が多く風もあるのでなんとかしのげそうだ。読図を練習したいという希望により、M村さんに先導していただく。尾根が分岐する部分2箇所が少し難しい。下りで尾根を間違えると戻るのが大変なので、ときおりM村さんを呼び止めて軌道修正。地形図上の情報と実物の距離や規模感(尾根の幅等)を対応させるのが最初は難しいけれど、これはもう、山へ入る度に地形図を読んで体で覚えるしかないですね。
下山後半、早くもその感覚を体得してきたM村さんの案内によって、狙いの小ヨモギ谷にどんぴしゃで到着し、地図読みが成功した独特の満足感を3人で共有する。
あとは森林鉄道の軌道を歩いて須後へ戻るだけだ。行きは気付かなかったが、途中で小さな神社を見かけた。由良川に反射する太陽光に照らしだされとても神々しく見える。近くには「灰野」と書かれた立札がある。帰宅後調べてみると、どうやら昔はここに由良川最上流の集落があり、人々の生活が営まれていたみたいだ。林業の他、アマゴを釣ったり狩りをしたりしてたのだとか。
行きと帰りを合わせると、森林鉄道の軌道歩きには述べ3時間を要した。しかし、あふれる緑と由良川の清流を眺めながら歩くこの時間が沢登りの前後に加わることで、山行全体がとても豊かになった気がする。
備忘録
- 高速(京都縦貫道 園部IC)を降りてから道沿いにあるコンビニは22時終了のヤマザキのみ。行ってないので定かではないが、見た感じおにぎりなど弁当類は充実していないかも。今回は少し道を逸れて、ローソン明治国際医療大学前店に寄った。園部ICを降りていったん南(目的地は北)へ行けばいろいろお店がありそう。
- 須後駐車場にはトイレあり。駐車場入口左側。夜だと分かりづらい。
- 二条10m滝を抜けてビレイ支点まで、なんだかんだで40mロープほぼ一杯使用した。ビレイ支点は岩に180cmのスリングを巻いて使用したが長さ的にギリギリだったので、沢登りではもう一回り長いスリングがあると活用できそう。
- 地図プリを500mスケールでA4用紙に印刷すると2万分の1の縮尺となる。
- ヒル被害なし(カヅラ谷出合に1匹いたが被害にあう前に退治した)。
- お風呂は河鹿荘の日帰り湯。500円/人とリーズナブル(JAF割引で400円/人)。