扇ノ山 来見野川 (2020-08-22)
強烈な残暑に涼しさを求めて、兵庫県と鳥取県の県境付近にある来見野川(くるみのかわ)を遡行した。
メンバー
崎間(単独)
行程
- 2020-08-22(土)
05:00 高砂市
07:30 駐車スペース
09:00 出合滝
09:20 大鹿滝
10:15 上流部(大鹿滝の高巻き終了)
11:10 野頭の滝
11:20 登山道(遡行終了)
12:55 駐車スペース
16:00 高砂市
詳細
(1) 入渓→大鹿滝
舗装された林道のヘアピンカーブの路肩にある広い空き地に駐車(この先は車両通行止め)。沢に向かう林道から踏み跡をたどって少し下るとすぐに入渓。沢靴から水が滲んで足元が冷やされ心地良い。
ちょっとした淵があり、へつったり、ときおり泳いだりして、上流へと進む。あまり変化がなく、ちょっと飽きてきたなあというころに出合の滝20mが現れる。おにぎりを食べながら、もし登るとしたらどのラインだろうと空想にふける。
二俣は右俣の左岸(つまりは向かって一番左)を高巻く。右俣の滝もなかなかの迫力。右岸の草付きを高巻く(トラバース部分にトラロープあり)。巻き終えて、惰性で右俣をそのまま遡行している自分に気づく。進むべきは大鹿滝(おおがたき)のある左俣だ。少し戻って登山道に乗り、北上する。
大鹿滝に到着すると、三脚を構えた一眼レフカメラで熱心に撮影している方がおられる。強烈にハングした岩壁の上部から一条の水流がとどめなく流れる様は圧巻。この滝がすべて凍ってアイスクライミングできたらどんなに楽しいだろうか。滝の裏側から落ち口を見上げると、自分の体がふわふわ浮いているような、不思議な感覚になる。
(2) 大鹿滝→野頭の滝
いよいよ、この沢の核心とされる大高巻きに取りかかる。登山道を少し登り、適当な所で藪の斜面を右上する。特に踏み跡はなく、滝の音を頼りに感覚的トラバース。乾いた急斜面ではフェルトソールが滑って難渋する。できるだけ太い木を頼りながらだましだまし進むと、大鹿滝の真上らしき位置にきた。
念のためGPSで現在地を確認すると、ほぼ大鹿滝の真上だ。ここで懸垂下降してもなんとかなりそうだけれど、単独行で心細い僕としてはもう少し巻きたかったので、トラバースを継続する。そうこうしていると沢が近づき、ロープを出さず水流に合流する。上手いこと巻けたと思う。
高巻きで体が火照っていたいたので、水流に浸かると気持ちがいい。太陽の上昇とともに気温は上がり、水底まで光が射し、明るい渓相となる。ちょっとした淵を無駄に泳いで全身を冷やす。ようやく沢登りを楽しめる余裕がでてきた。
以降は平穏な流れに10m級の滝が3回現れる。1つ目は左岸から小さく巻き、2つ目は右岸からやや大きく巻く。3つ目は野頭の滝という名前らしい。足を釜に漬けて涼をとりながら、太陽に照らされて明るく光る滝と釜を見入る。贅沢な時間だ。野頭の滝を右岸から大きく巻くと登山道に合流するので、ここで遡行終了とする。
(3) 下山
牧歌的な広留野高原(ひろどめのこうげん)の農道を歩いて、入渓点に置いた車を目指す。道迷い防止とGPSのテストを兼ねて、GARMIN eTrex 30xを片手に歩く。すけログ氏のサイトから入手させていただいた10mメッシュ地形図は、現実とばっちり対応している。何も考えずとも、現在地を見失うことはない。ズルしているような気持ちすら沸き起こる。
舗装路を30分ほど歩いたあたりで桜町湯村温泉線への分岐が現れ左折する。途中で工事を断念したのだろうか。むき出しの地面から突如舗装路となる不思議な林道は、植物にのみ込まれつつある。部分的に登山道となり、ちょっと迷いやすい。GPSに助けられ、13時、車に到着。トラブルなく下山できてほっとする。
感想
今回でシーズン3回目の単独沢登り。相変わらず、沢で単独というプレッシャーに全然慣れない。1人で一般道を登山しても何も気にならないし、鋸岳を冬季縦走したときにも、それほどには重圧を感じなかった。沢だけが何か特別だ。
谷が狭まっていること、深い釜があること、そして人と会うことが極端に少ないことで、不安が高まるのかも。不安と引き換えに、形容しがたいゾクゾクするような冒険性や、1人ならではの気楽さもまたある。
来見野川は、大峰とまではいかないけれど、播州の沢に比べると透明度が高くて気持ちが良かった。大鹿滝をはじめ、高巻きが頻発するので、高巻きの訓練にはもってこいかも知れない。中間部には出合の滝、右俣の滝、大鹿滝という20m級の滝が連続し、見応えがあった。
今回初使用となるGPS端末eTrex 30xのおかげで、遡行時にも下山時にも道に迷わず、見込みよりも短い時間で行動できた。それはもちろんいい事なのだけれど、機械に頼りすぎて自力で頑張った感が薄れたので、今後はやっぱり地形図とコンパスを主力に登ろうと思う。
備忘録
- 駐車スペースには、入山時は他の車はなかった。下山すると、他に2台の車が駐車されていた。
- 中国道の山崎ICを降りてから、下道を60km以上走ってアクセスした。
- 温泉は「若桜ゆはら温泉ふれあいの湯」を当てにしていたのに、残念ながら臨時休館だった。