雪彦山 三峰東稜〜弓状クラック(2023-11-25)
メンバー
崎間(単独)
行程
- 2023-11-25(土)曇
10:20 賀野神社
10:45 三峰東稜取付
12:50 三峰の頭
13:00 弓状クラック取付
15:15 大天井岳
16:10 賀野神社
詳細
珍しく、賀野神社や大曲周辺に1台も車がなかった。(アプローチシューズを忘れてしまったため)keenのサンダルで落葉を踏みしめながら、通い慣れた踏み跡をたどる。
三峰東稜(3ピッチ)
1ピッチ目は傾斜が強くていきなりの核心ピッチ。ホールドは明瞭。ロープソロが久し振りなのでクリップに手間取り、パンプすること甚だしい。粘りの完登。広々としたテラスの終了点にロープをフィックスし、グリグリで懸垂下降して、同じルートを登り返す。
2ピッチ目は中間部にハンドジャムが気持ちよく決まるクラックがあり、そこだけ傾斜が強い。他は傾斜もなく概ね快適。40m以上ロープを伸ばし、広いテラスの終了点。
3ピッチ目は出だしがやや立っていて、後半が藪っぽい。ルートファインディング力が問われる。35mくらいで終了点。
ロープを仕舞い、三峰の頭まで歩く。三峰の頭から眺める不行岳(ゆかずだけ)の南面に切れ込む弓状クラックはなかなかの迫力。今からあれを登るのだ。
弓状クラック(2ピッチ)
1ピッチ目(5.10a)は左に弓なりのカーブを描く顕著なクラック。出だしの藪漕ぎがやや悪い。大木の根本にソロシステムのビレイ点を設置し、カムを1セット持って離陸。クラックはガタガタしててカムを決めにくく、たまに岩が浮いているので緊張する。ガタガタなのでジャミングすると手の甲が痛い。ホールドは多いので、クラッククライミングというよりもフェイスクライミングに近い。
1セットのみのカムは早々に使い果たしそうになり、頼りないリングボルトやハーケンも交えてプロテクションを取り、下のカムを回収しつつ登る。全体的に凹角状なのでステミングで傾斜をいなせるけれど、フットホールドがどれも剥がれそうで心もとなく、いきおい腕に力が入り過ぎてしまう。蜂の巣跡が残る最後のちょっとしたハングを抜け、終了点の大木にたどり着くと心底ほっとした。ロープスケール25m。
大木に巻き付けたスリングにセルフビレイをとり体重を預ける。眼下に三峰の頭と、紅葉が終わりかけた晩秋の山々が見える。僕は1人でこんな所にいて、複雑なロープワークを伴うクライミングで危険に身を曝し、一体何をやっているんだろう。この困難さを乗り越えられる力が、僕にあるのかを、試してみたかったのだと思う。
1ピッチ目の登り返しもまたしんどい。アッセンダーからフットテープを垂らし、グリグリ側のロープをアッセンダーの上で折り返し、完全ぶら下がりモードでキコキコと登る。これはこれで楽しい。
このルートの2ピッチ目を登るのは今回が初だ(1ピッチ目は今回が2回目)。簡単だけどプロテクションが取れない壁を少し登り、樹林帯を歩きつつ岩も登る。最後は松の木でビレイ。例によって登り返し。
その上は、まあ歩けそうなので、ロープをザックに仕舞い、クライミングシューズのままで進む。II級くらいの岩場を上がって樹林帯を登っていると、自分がどこを歩いているのか分からなくなってきた。不行岳のピークに向っているはずなので、そろそろ温故知新の終了点があるのでは、と思っていたら温故知新の終了点が見えた。程なくして不行岳の頭。
不行岳と大天井岳間のギャップは、正面から行くと悪いので、右に回り込んで簡単なルンゼから登る。15:15大天井岳。ずっとクライミングシューズを履き続けていたので、いい加減つま先が痛い。靴を脱ぐだけでこの上ない開放感。世の中には、靴を脱ぐだけで得られる幸せもある。
備忘録
- 装備は50mシングルロープ、クイックドロー5本、アルパインクイックドロー5本、カム(C02〜C2)1セット、スリング類。
- ロープの流れ止めにタイブロックを使ってみた。プルージックよりも確実。ただし、プルージックの様に片手ではセットできない。
感想
- バタバタで出発したせいか、アプローチシューズを忘れてしまったし、GPSロガーを持ってきたのに電池が切れていた。マルチピッチが久々だったのに、雪彦山だからまあ大丈夫だろうと慢心していた。
- 三峰東稜はどのピッチも終了点が広くて安定しており、なかなかに居心地がいい。地蔵岳東稜に次いでのマルチピッチルートに最適かも。
- 弓状クラックは雪彦山のルートの中ではかなりワイルドな部類で、だいぶ厳しかった。